2020/08/03

ナラ枯れ ついに被弾… _| ̄|○

豪雨の連続もあった長い梅雨が明けて8月初旬。被覆したミズナラをパトロールしに行ったら愕然。ODシートにフラスが溜まっていた。フラスとは、カシノナガキクイムシ(カシナガ)が穿孔して出す、木くずや糞などの粉のこと。



一瞬、ODシートが破られたのかと思ったのだが、被覆したさらに上の幹に穿孔が見られた。

マジかよ。地際に集中して穿孔されるので約5mの高さまで被覆したのに…。あの集中豪雨のなかでも着実にカシナガは侵攻していたのか…。油断した…。

地際とか関係ない。被覆すればさらにその上方に穿孔されるだけのことだ。被覆するならその上全体まで被覆しないと意味がないということだ。高所作業車を使用しない限り無理だ。



被弾した木から7mほど離れたもう1本は全く大丈夫だった。カシノナガキクイムシは、穿孔して集合フェロモンを発するとその木にだけ集まるので、そばの別の木には見向きもしない。だが、やがて、この被害を受けていない木も、今年中か、来年には攻撃に晒されるだろう。



裏手に隣接するプリンスホテル所有の土地にあるミズナラも確認したらかなり上までヤラれていた…。






そして、道路沿いの谷側にあるミズナラは…。






残念ながらここも被覆のもっと上に穿孔されていた。
この木は昨年に地際の幹に穿孔されており、殺虫剤で駆除したところ、枯れずに今年も葉をつけていたのに…。


すでに穿孔されて樹幹内にカシナガが入ってしまったらまず救うことはできないというが、一縷の望みを託してなんとか対処したい。カシナガが運び込んでカシナガの幼虫の餌になるナラ菌(アンブロシア菌)が水管を詰まらせて木を枯死させる。そのナラ菌を殺菌剤でやっつけることができれば、なんとかなるかも。

春先に、樹幹にドリルで穴を開けて殺菌剤のボトルを10数本挿しておく方法は知っていたが、更に調べると、濃度の高い殺菌剤を少量注入する方法もあることを知った。早速やってみることに。

生きている樹幹にドリルで穴を開けることに抵抗があったのでやらずにいたのだが、そんなことを言っている場合ではなくなった。




周囲を抑えていた枕土嚢をどけて根元のODシートを捲くってみると、さすがに全く被害は受けていない。もしかしてどうにか潜り込まれているかも、と思っていたのだが。
Φ5mmのドリルで45度の角度で深さ5cmほど穴を開ける。20cmほどの間隔を開けて周囲に20ヶ所ほど。開けた位置がわからなくならないように竹串を挿しておく。

15%のトリホリンを0.5mlずつ注入する。これは、春先にやるべきだった。従来は1本1,000円のアンプルボトルをこの太さの木なら16本ほど、挿さないとならず、これを5本の木に挿すなら、被覆した方がコストも手間もかからないと思ったのが間違いだった。

バラ用の殺菌剤と同成分だったのでそれを利用。アンプルボトルより格段に安価に処理ができる。この処理で2年間は殺菌剤の残存効果がみられたそうである。


注入が済んだらカルスメイトで穴を塞いでおく。

この処理を当CAMPにあるミズナラ5本のうち4本に行った。道路沿いで谷側の木はもうすでに枯れ始めており手遅れだった…。


そして、次に脚立をかけて、穿孔された穴に殺虫剤スミパインを入れてカシナガをやっつける。

カシナガの巣穴にシリンジの針を挿してみて思った。やはり…。雨が入らないようすべての穴はすぐ上方に向かっていた。針が入らない…。圧をかけて注入するがこちらに吹き出してくる…。細いシリコンチューブも考えたが人体と違って木質の摩擦抵抗があるので入って行かないだろうし。殺虫剤の揮発成分でカシナガをやっつけてくれると信じるしか無い。



6m以上なので結構高い。落ちないように気を引き締めてやる。







3mmほどの穴だが、フラスが溜まっているので見つけやすい。



コレがカシノナガキクイムシだ。このツガイが数十匹の子供を生んでその子供がまた産む。数十倍ゲームが永遠に続き、日本中のナラ、シイ、カシ、クリなどの大径木が全滅する。カブトムシやクワガタも減り、ドングリも無くなるためにクマが人里に降りてくる原因にもなっている。




ガレージ横の被弾していない木の根元にも殺菌剤の注入処理をする。

谷側の居住棟に近い1本もまだ被害を受けていなかった。コレにも殺菌剤処理をした。
この木もいつかヤラれるであろう…。しかし、殺菌剤を入れておけば樹幹内のナラ菌が増えないので幼虫の餌を作ることができずに幼虫が死ぬ。枯死の原因になる水管を詰まらせるナラ菌がポイントなのだ。


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