箱根湯本の駅前通りを進むと正面の山にチラホラと紅葉のような茶色い木が目立つ。まだ8月だよ。
一の湯本館の上にも茶色く目立つ木が。ナラ枯れと呼ばれる枯死である。
ナラ枯れの原因は、甲虫「カシノナガキクイムシ」によるもので、このカシナガが穿孔して産卵し、カシナガの背中に載せて運んでいる菌を使って健康な樹木の細胞を壊死させて幼虫の餌とするらしい。その菌はラファエレア・クエルキボーラという糸状菌、いわゆるカビとのこと。樹木の細胞が死ぬと水を運ぶ細い道管が詰まるので、葉が茂った盛夏に突然枯れてしまうというメカニズムだ。幼虫が成虫になって脱出する5~6月までに伐採して燃やすか薬剤による燻蒸をしないとこの被害の拡大は防げない。一本一本そんな処理をする予算も人員もいないのでこの伝染病は止まらないだろう。1930年代からナラ枯れはあったそうだが、近年は爆発的な規模で広がっているそうだ。被害は樹齢40~120年の大径木に集中している。
その先、塔ノ沢鉄橋をくぐると右手の山肌におびただしく広がる茶色い木々。この夏、箱根に来た人は気づいただろうか?
箱根湯本から大平台の間、早川渓谷に沿って右側の山肌だけでも枯死が200本はありそうだ。
大平台のカーブから望む。枯死した木々が広がる。いまのところ、大平台から上流の木賀方面には枯死は見られないが、ほかの地域はかなり進行している。
このナラ枯れと呼ばれる現象は1980年代末以降から再び発生している。日本各地でナラ類やシイ・カシ類の樹木の大量枯死が発生中で、増加傾向に歯止めがかからない状態だそうである。
枯死被害が大きい樹種はミズナラとコナラで、とりわけミズナラが枯死しやすいそうだ。カシ、クリ、シイなども被害を受ける。
早川を挟んで国道1号線と向かいの林道に行ってみた。先ほど1号線から見た山肌側で、こちら側は小田原管轄である。
確かに大径木があちこちで枯死している。
当CAMPでは谷底から生える25mほどのコナラが被害を受けていた。これが気になって周囲を確認すると隣や向かい、ゴミステーションのある隣のもみじヶ丘別荘地も意識して見たらかなりの枯死が見られた。
ナラ枯れ情報を収集している県西地域県政総合センターの森林保全課に通報したところ、箱根町役場とともに来てくれた。箱根全域で深刻な状況だそうだ。強羅にある当CAMPのコナラもひと目見てナラ枯れの判断。周囲の土地の樹木も同様だった。
お向かいも20本近くの大径木が被害を受けていた。このようにカシノナガキクイムシの成虫が穿孔した穴からフラスが大量に排出されている。コレが正真正銘の証拠である。地表から2m以内のところから穿孔されるらしいので、ここをカバーしてやるしか防ぎようがない。
こちらの木もヤラれている。苔むした良い感じの樹齢40年くらいはありそうな大径木である。もったいない…。
葉がついて健康な木が穿孔されて1~2ヶ月で完全に枯死してしまう。
当CAMPにあるコナラ、ミズナラ系をチェックして穿孔時期の来春までに何かで巻いてガードしてやらねば。健康な木が、ちっこい虫とカビ菌に殺されるなんて許せない。そして、道路や建物に倒木したらヤバイことになる。伐採費用も馬鹿にならないしな。
独立行政法人 森林総合研究所の下記資料がめちゃよくわかる。
ナラ枯れの被害をどう減らすか
―里山林を守るために―
国の税金を無駄遣いせずに、山を守るこういうことにも使って欲しいものである。
こんなのあるけど高っ! アース製薬が出してる製品。ほしいなぁ…。
0 件のコメント :
コメントを投稿